社会 生きている言葉と日本語を守ること 2023年8月22日 日本語や文語が大切だという話題も、少し軽い内容から入ってみたいと思います。徳永文一『国際人には文語が似合う』(長風舎、2015年)には、思わず苦笑いしてしまう事例が出ています。 銀行に電話をしたとき、「○○さんいらっしゃいますか」と尋ねると、「○○部長さんはお席にいらっしゃいません」との返答。さらに別の電話では、「○○... 山越誠司
社会 日本語が消滅する前に文語を守ってみる 2023年7月29日 前回、文語を学ぼうとして何度も挫折したことを書きました。文語文を書ける人たちは、70代後半、あるいは80代の方々です。その方々がこの世からいなくなれば、おそらく文語は消滅すると思います。 私が法学部の学生になったのは1987年ですが、当時の民法や商法の条文は、歴史的仮名遣いでした。いわゆる文語体です。民法や商法が制定さ... 山越誠司
社会 「文語」復興運動にみる伝統を守る難しさ 2023年7月8日 検問中の警察が、17歳の少年を射殺してしまった事件を契機に、フランスでは暴動が発生しました。グローバリゼーションの流れで多くの移民を受け入れてきたフランスでは、社会が分断され、伝統と文化が徹底的に破壊されてしまっているのです。もう庶民も疲れ果てています。 翻ってわが国日本をみると、多少様相は異なるものの、確実に日本の伝... 山越誠司
社会 社会言語 なぜ、膨大な時間を英語教育に費やすのは不合理なのか? 2023年6月18日 英語ができるとビジネスがうまくいくとか、英語が公用語の国は発展すると思っている人もいるかもしれません。シンガポールやインドをみると、それも正しいのかと思いたくなりますが、どちらの国も多言語国家のため、英語という共通言語が必要なだけです。結局、多くの人が必要に迫られて英語を学んでいるということになります。 翻って日本を考... 山越誠司
社会 定年後の生活を充実させるコツとは!? 2023年6月11日 日本においては、会社務めをしている限り定年退職という状況に多くの人が直面します。意外に知られていませんが、定年退職制度というのは、アメリカやカナダ、オーストラリアなどの英米法系の国には存在しません。なぜなら年齢差別にあたるからです。 そして、日本におけるこの定年退職というのを甘くみている人は多いようです。そのような人々... 山越誠司
社会 社会 一に国語、二に国語、三、四がなくて五に算数 2023年6月4日 「手当(てあて)」を「てとう」と読む政治家が現れましたが、これは日本の国語教育の再考を促す出来事だと思います。人は、母語の運用能力が高まらない限り、思考能力に限界が生じます。母語と思考は密接に関連しているということです。 藤原正彦氏は、『祖国とは国語』(新潮社、2005年)において、「一に国語、二に国語、三、四がなくて... 山越誠司
社会 教育社会 なぜ日本はダントツで学ばない国なのか? 2023年5月28日 アジア太平洋地域(APAC)14ヵ国・地域の主要都市に住む人々の働く実態や意識、仕事に対する考え、転職状況、働くことを通じた成長などについて調査した、パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」の報告によると、日本人は、「勤務先以外での自己啓発や学習は何もしていない」という項目でダントツ1位になっ... 山越誠司
社会 子育て社会 子育てに「正解」はない 2023年5月21日 4人の子どもを東大(理科三類)に合格させた、佐藤ママこと佐藤亮子氏の発言が批判されました。彼女の「タブレットがなくなったら子どもが賢くなります」というコメントに対して、堀江貴文氏が「こいつバカでしょう笑」と、見下しました。また、茂木健一郎氏も「スマホもそうだけど、日本の中のある種の教育化石層は、やたらと新しいテクノロジ... 山越誠司
社会 携帯電話の利便性の裏にある危険性も気にしてみる 2023年5月13日 「携帯電話は発がん性物質です」といわれるとギョッとしますね。実際そうなのでしょうか。少し昔のニュース記事を確認してみましょう。イギリスのBBCによると、2011年の時点でWHOは、携帯電話の使用により脳腫瘍を引き起こすかもしれないということを報告しています(BBC, Mobiles 'may cause brain c... 山越誠司
社会 マスメディアの善悪二元論に流されない 2023年5月5日 善か悪かという問題の立て方は単純明快で便利です。しかし、複雑な世の中のことを二つに分割して整理する方法には流されずに立ち止まって熟考する間合いが必要だと思われます。そして、この善悪二元論を多用するのがマスメディアになります。 金子勝=アンドリュー・デウィット『メディア危機』(NHKブックス、2005年)によると、日々、... 山越誠司