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エゴを手放すために呼吸を観察する

エゴと「いま」という瞬間の関係性について、エクハルト・トール『ニュー・アース』(サンマーク出版、2008年)に説明があります。彼はドイツ生まれカナダ在住の作家ですが、精神世界では大きな影響力を持つ人のようです。

トール氏によると、エゴは決して現在という瞬間と仲良くできないそうです。エゴの本質は「いま」を無視し、抵抗し、貶めるようにできています。すなわちエゴは時間のなかで生きています。エゴが強ければ強いほど、人生はいっそう時間に支配されます。

そうなるといつも過去か未来のことばかり考え、自分がどんな人間かが過去によって決定され、自己実現を未来に頼ることになります。恐怖、不安、期待、後悔、罪悪感、怒りなどは、意識が時間に縛られて機能不全になっていることを示します。

このように、エゴが時間の概念に基づき思考をつくりだし、余計な恐怖や不安をもたらすわけです。よって、「私は現在という瞬間とどんな関係にあるだろう?」と、始終自分に問いかけることが大切だといいます。この問いは、エゴの仮面をはいで「いまに在る」状態を取り戻すのにとても役立つそうです。

それでは、どのようにエゴを手放し「いまに在る」状態になることができるのでしょう。呼吸を観察すると、いやおうなしにいまこの瞬間に「在る」ことになります。これがすべての内なる変容の鍵だということです。

最近、呼吸法や瞑想、右脳活性化、マインドフルネスなどが流行っているようですが、エゴによる苦悩から解放されて「いまに在る」ための方法として有効だからなのだと思います。「言うは易く行うは難し」ではありますが、実践することで心の平安をもたらすことができるのでしょう。

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