pickup
資本主義が終わっても問題ない働き方

バブルが崩壊し、資本主義が終焉を迎えるというのは、少数ながら以前から有識者が指摘していました。森永卓郎『投資依存症』(フォレスト出版、2024年)でも同じことが述べられています。

森永氏によると資本主義の本質は、勝ち組が負け組から収奪する仕組みで、投資も含めてゼロサムゲームであるといいます。たとえば、大企業が中小企業から収奪する、経営者が労働者から収奪する、資本家が企業から収奪するなどでしょうか。とてもうまく作られた仕組みなのかもしれません。

そして、歴史を振り返ってみると、資本主義の前には封建制がありました。これも収奪の仕組みだったわけです。貨幣ではなく、土地を介して主従関係を結ぶという点では異なりますが、収奪の仕組みという意味では資本主義と本質は変わらないともいえます。

その後、貨幣経済が発達したことによって農民が資産を蓄積することが可能になり経済力がつきました。その結果、土地を介した収奪の仕組みは崩壊しています。

果たして資本主義は崩壊するのでしょうか。暗号技術を用いたブロックチェーンの技術などで、様々な取引が見える化されると、情報の非対称性を利用して取引を成立させていたビジネスも変わってくるかもしれません。

情報の非対称性が解消されると、本当に価値ある商品やサービスがどれなのか明らかになります。お互い価値ある商品やサービスを提供できる人たちは、相互に自分の強みを融通し合うことで、経済を成り立たせるかもしれません。貨幣経済が崩壊し、物々交換に回帰するようなイメージでしょうか。

私には資本主義の未来を予測する力はありませんが、歴史を振り返れば、資本主義が未来永劫続くという結論を100%信じることにはなりません。そうすると、長期分散投資という投資の鉄則すら通用しない時代がくるのかもしれないと思います。自信はないものの、そこはかとなく資本主義は徐々に終わるのではないかと思っていたので、少額ではあったものの試しにいったん投資信託もやめてみました。

ただし、人々に価値ある商品やサービスを提供し続けて「働く」ということに意義があり続けることだけは正しいように思っています。資本主義の終焉が、10年後か100年後か1000年後かわかりませんが、そちらの方向に動き出しているのであれば、とにかく価値を提供するという働き方は意識した方がよいのかもしれません。

おすすめの記事