中村仁一『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎新書、2012年)によると、日本人の3人に1人はがんで死ぬといわれていますが、医者の手にかからずに死ねる人はごくわずかだそうです。がんは治療をしなければ痛まないのに、医者や家族に治療を勧められ、拷問のような苦しみを味わった挙句、やっと息を引き取れる人がほとんどです。
死ぬのはがんに限ると断言し、自然死の数百例の事例を見届けきた中村医師が次の設問によって、読者の医療に対する思い込みに気づきを与えてくれます。
① ちょっと具合が悪くなると、すぐ医者にかかる
② 薬を飲まないことには病気はよくならない
③ 病名がつかないと不安
④ 医者にかかった以上、薬をもらわないことには気がすまない
⑤ 医者は病気のことなら何でもわかる
⑥ 病気は注射を打った方が早くよくなる
⑦ よく検査するのは熱心ないい医者だ
⑧ 医者にあれこれ質問するのは失礼だ
⑨ 医者はプロだから、自分に一番いい治療法を教えてくれるはず
⑩ 大病院ほど信頼できる医者がたくさんいる
⑪ 入院するなら大病院、大病院の方が安心できる
⑫ 外科の教授は手術がうまい
⑬ マスコミに登場する医師は名医だ
⑭ 医学博士は腕がいい
⑮ リハビリはすればするほど効果が出る
いくつ〇がついたでしょうか。〇がゼロの人が大往生できる人ということなのですが、私たちが医療というものの本質を考える、とてもよい設問ではないかと思います。医療を再考するためのきっかけとしてみるとよいかもしれません。