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子育てに「正解」はない

4人の子どもを東大(理科三類)に合格させた、佐藤ママこと佐藤亮子氏の発言が批判されました。彼女の「タブレットがなくなったら子どもが賢くなります」というコメントに対して、堀江貴文氏が「こいつバカでしょう笑」と、見下しました。また、茂木健一郎氏も「スマホもそうだけど、日本の中のある種の教育化石層は、やたらと新しいテクノロジーを嫌がる」と批判しています。

私は子育てに正解があるわけではないと思いますので、どちらの見解も特に重要性があるとは考えません。そもそも、どの見解も答えが一つしかないという前提の発言であり、教育論というよりは、信念に過ぎないと思います。

私見は、とにかくバランスが大切だということです。テクノロジーに依存しすぎない、あるいは、アナログが絶対だとも思わないということです。最近は、IT依存が行き過ぎの感もあり、あるベテランの塾講師は、昨今の生徒の学力の低下は、タブレットに原因の一端があるかもしれないと指摘もしていました。そうかもしれませんが、わかりません。

たしかに、科学的な統計があるわけではないので断言できませんが、鉛筆でカリカリ書く作業が、脳のある部分を刺激するということは十分にあり得ることです。どれが正解か確信がないのであれば、両方やっておくほうが安全だと思います。

また、この社会で生きていく能力だけがすべてではないという発想も大切です。いい高校、いい大学、いい会社に入れば成功と定義してしまうと、論理的能力を培い、テクノロジーを駆使して成果を出せる人になることが正解かもしれません。しかし、そのような教育を推し進めると、大切な直感を養うことができません。実は人生の大切な判断や決断に、直感が果たす役割は大きいはずなのです。そのような直観力は、佐藤ママもホリエモンも重視していないようにみえます。重視しているのであれば、前述の不毛な議論は起きないわけです。

教育論には正解はないのですが、あえて実践的なことを3つ提言させていただこうと思います。そうしないと、「じゃあどうすればいいの?」と聞こえてきそうなので。あくまでも参考としていただき、実践するかどうかは判断されてください。清水克彦『頭のいい子が育つパパの習慣』(PHP文庫、2007年)にも指摘されており、私も実践して後悔しなかった3点です。

(1)お風呂の中で学校の話を聞こう
(2)リビングに地球儀と年表を置こう
(3)何ごともまず父親がチャレンジしよう

以上です。

まず1点目ですが、子どもの対話力が身につきます。父親は聞いているだけでいいと思います。相槌を打って話を聞く。そして、アドバイスをするなら、「もしかしたら、こういうやり方もあるね」という程度の可能性を示すことです。子どもの世界についても断定しない。選択肢はいくつもあるという前提で話すといいでしょう。

次に2点目ですが、今は大学生でもイラクがどこにあるかとか、ギニアはアフリカにあるなどということを知らない人が多いといいます。外国といえば、頭にあるのはアメリカとイギリス程度かもしれません。ニュースで話題が出たり、ネットで情報検索したりしているときに、すぐに場所を確認できるように地球儀があると便利です。地球は丸いということも実感できるだけでもいいと思います。

最後に3点目です。父親も失敗するということをみせることは大切だと思います。かっこ悪い姿をみせつければ、子どもは失敗することが当然という感覚になります。失敗は挑戦しなければできませんので、失敗をいけないことだと思わせない効果はあるかもしれません。

私は3人の子どもがいますが、まだ子育てが終わっていないので、総括できる立場にありません。ただ、同じように教育していても、それぞれ個性があり違います。どれが正解なのかわかるわけはないので、何でもバランスよく試してみることだと思います。そう考えると、最初に紹介した教育論争は、不毛であり、枝葉末節ということがわかると思います。しょせん、ゴールが違えば方法論も変わるので、バランスよく試してみるのがよいと思います。

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