お金にはエネルギーがあり、どのようにお金を使うかで、世界に与える影響が変わってくるようです。私たちは、どのようにお金を稼ぐかということに意識は向きますが、どのようにお金を使うかに意識を向けていない可能性があります。ここにおける意識というのは、お金を使うことによって、世の中をより良くするとか、社会に貢献するという考えになります。
リン・トゥイスト『ソウル・オブ・マネー』(ヒカルランド、2013年)の著者が、生まれた孫のために服を購入しようと考えていました。そして、ショッピングに出る前に孫の父親、すなわち自分の息子から電話がかかってきました。そして伝えたいことがあるということで次のようにいいました。
「僕たちが納得いく方法で製造された製品を娘のために買うことが、どれだけ僕たち夫婦にとって大切かってことなんだ」
その息子は続けて、服を購入して欲しくない店舗の名前をあげました。流行のあるチェーン店は、インドネシアの児童労働で知られていました。また、評判の良いあるデパートでは、毒性のある染料の使用を禁じていませんでした。
著者は社会活動家であり、開発途上国での児童労働をストップさせ、環境をクリーンにする活動に従事しているにもかかわらず、かわいい孫のためには、その製品がどこから来たのか、どのように製造されたのか、それを購入するとどんな結果が導かれてしまうのか、まったく意識していなかったといいます。
ここであらためて、お金にはエネルギーがあり、どのように使うのか、あるいはどのように分かち合うのかを考えることは、もしかしたらどのように稼ぐかよりも大切なのかもしれないということに気づかされます。一度、自分が何にお金を使っているのか、クレジットカードの明細や銀行口座の出金明細を客観的に眺めてみるとよいかもしれません。善悪の判断なく、じっと眺めてみると何か新しい発見や、次の行動がみえてくるかもしれません。