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中村仁一医師のワクチンに対する考え

感染症の予防にはワクチンなどといわれます。2009年に新型インフルエンザが流行しました。当時、全国紙や地方紙に「新型インフルエンザワクチン接種について」という政府広報があり、「ワクチン接種の効果」について、「重症化や死亡には一定の効果が期待されます。ただし、感染を防ぐ効果は証明されておらず、接種したからといって、感染しないわけではありません」とありました。まさしく、どこかで聞いたような台詞です。

老人ホームの付属診療所で所長を務めた、中村仁一医師は、『大往生したけりゃ医療とかかわるな』(幻冬舎新書、2012年)において次のように結論付けます。つまり、ワクチンを打ってもインフルエンザにはかかり、他人にうつすということです。したがって受験生に予防のために打っておこうと勧めるのは、無意味としかいえません。本当に受験に備えるには、早めに天然ものにかかっておくことと。

当時、老人ホームでは、予防接種をしていたにもかかわらず、死者の出たところもありました。しかし、そのことに関してマスコミは何のコメントもしませんでした。結局、死亡の防止といっても、ワクチンの直接作用ではなく、予防接種した人の身体が、どれだけワクチンに反応して、抗体という抵抗勢力をつくれるかに尽きます。したがって、本当に死亡や重症化の予防ができるかはあやしくなってきます。

また、なぜ予防できないかといえば、インフルエンザ・ウイルスの進入門戸は、鼻やのどの粘膜だからといいます。ワクチンを打っても抗体ができるのは、血中であって、これらの粘膜ではありません。予防というのは、いわば門の外で撃退できる場合を指し、門を入って玄関を上がって座敷で初めて闘うような事態ではないということです。

中村医師は「自分の死を考える集い」という市民グループを主催していました。ご本人は昨年お亡くなりなっていますが、死というものを深く考えた医師のワクチンに対する考察は、私たちに対する遺言として貴重な示唆を提供しています。

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