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温暖化脅威論を再考してみる

メディアから流される情報をみていると地球環境が危機に瀕していることが強調されるが、その理論的根拠が示されていないことも多く、プロパガンダではないかと疑う人もいる。すなわち、特定の結論に向けて多くの人々を誘導する意図をもってメディアが情報発信しているという可能性である。なぜなら、各種情報発信において過去の統計データが示されないことも多く、どうも印象が作り上げられているだけではないかと疑いたくなることがあるからであろう。もしその疑念が正しいとするならなぜそのような情報操作あるいは印象操作がなされるのであろうか。まず思い浮かぶのは、地球温暖化の危機を煽ることで得をする人々や組織、国家があるからかもしれないということであろう。その証拠を掴むのは難しい。

杉山大志『「脱炭素」は嘘だらけ』(産経新聞出版、2021年)によると、地球温暖化は単なる「物語」の可能性があるという。この「物語」に沿って、世界の政治や経済、そして科学や学問が進んでいるという。その弊害として、日本政府は太陽光発電を強引に進めた帰結として、年間2.4兆円の賦課金が国民負担となってしまっている。それにも懲りずに、石炭火力の廃止やガソリン自動車の廃止など、エネルギー政策は極端に振れているので、その裏では巨額のマネーが動くようになっている。

そして、過去30年の知見の蓄積を科学的に踏まえて、この地球温暖化の『物語』を修正するなら次のとおりとなると指摘する。

① 地球温暖化はゆっくりとしか起きていない。

② 温暖化の理由の一部はCO2だが、その程度も温暖化の本当の理由はわかっていない。

③ 過去、温暖化による被害はほとんど生じなかった。

④ 今後についても、さしたる危険は迫っていない。

⑤ 温暖化対策としては、技術開発を軸として、排出削減は安価な範囲に留めることが適切である。

しかし、日本でこのような修正論が受け入れられるのは難しい。なぜなら大勢が温暖化脅威論で占められているからである。そして、杉山氏が指摘するように、科学的根拠をもとに温暖化脅威論を唱えている人は実は少ないという。ほとんどの人は、権威者がいうことや、政府の見解が政治的に正しいという立場をとっているに過ぎない。一方、アメリカであれば、少しはバランスが取れており、共和党系のメディアは温暖化懐疑論の立場で報道している。ウォール・ストリート・ジャーナル、フォーブス、FOXニュースなどである。

未来のために温暖化対策は重要であるという命題はたしかに正しい。それに反対する者はいないであろう。ただし、その認識や方法に間違いがあった場合は、我々の社会に大きなダメージを残すことになる。SDGsも含めて、世界が取り組んでいる代替エネルギーが本当に望ましいのかいろいろな角度から議論すべきであろう。その議論がなく、結論ありきの報道に違和感があるのであれば、一人ひとりがもう少し深く調べていくことが大切なのかもしれない。

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