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洗脳されない環境問題① – レジ袋 編

2020年の7月から、有料化になりました。これでみなさんの生活は変わりましたか? レジ打ちをしている方は、「マイバックお持ちですか?」とか、「有料になります」とか、「どのサイズのレジ袋にされますか?」とわざわざ聞いて確認する必要があるので、結構負担が増えたことだと思います。

僕がスーパーに行った時には、店員さんに、「マイバックお持ちですか?」って聞いてもらうのも可哀想だなあと思い、自分から「レジ袋ください」と言うようにしてます。レジの方はお客さんみんなに、同じことを言ってるんでしょう? なんか可哀想だなあって。

でも、「レジ袋買います」と言ってるのに、レジの方から「マイバックお持ちですか?」と言われることもあったり、「有料ですが・・・」と返事が返ってくることがあります。

レジ袋は環境に悪いからと言って、ちょっと前からめっきり悪者扱いされて、欲しいんだったらお金を払って買ってくれ、と言う社会になってきました。その理由は、生物、特に海洋生物に悪影響を与えるから。よく、海の中をレジ袋が彷徨っていて、それによって海洋生物が苦しめられていると言う映像がテレビで流れています。だから、ああレジ袋はダメなんだあと言う風に僕らは考えてしまうのですね。

でも、海ごみの調査によると、レジ袋が海ごみに貢献してる割合は容積比で0・3%ぐらいで(『海洋ごみをめぐる最近の動向』 平成30年9月・環境省)、ほんとはペットボトルの方が海ごみになってる割合は13%弱で大きいのですね。だから、ペットボトルの使用は規制されるべきなのに、レジ袋が有料になって規制され始めたのですね。じゃあ、この海ごみで大きな割合を占めているペットボトルは悪者か? と言われると、そうでもないのですね(ペットボトルの話は、また別の記事でしたいと思います)。

レジ袋は、リサイクル製品だと言うことを皆さん知っているでしょうか? 元々は精油製品の残りものを使って作られていました。我々の生活は石油がなければ成り立ちませんね。例えば我々の社会は、車なしでは何も動かなくなっています。ご飯も服も車による流通から成り立っています。私が住んでいる北陸では、大雪が降るとスーパーマーケットやコンビニで、品薄になります。棚に何もない時があります。大雪で車が動けなくなり、流通がストップしてしまうのですね。こんな時には、車への依存度がよくよく分かるのです。

この車を動かしてるのが、石油です。電気自動車も普及しつつありますが、まだまだガソリンや軽油で動く車が圧倒的に多いのが現状です。そのガソリンや軽油を精製するのが石油化学工業ですが、石油を精製してガソリンを作る時に、『ナフサ』という物質が取れて、それがレジ袋等のプラスチックやゴムの原料になっています。だから、レジ袋を減らしたからって、石油の使用量が減るわけじゃあないのです。むしろ、レジ袋として使った方が、資源の無駄がなくなり環境にもいいのですけどね(『偽善エコロジー―「環境生活」が地球を破壊する』・平成20年5月・武田邦彦・幻冬舎)。

また、レジ袋は何役もこなします。店を買ったときそれを運ぶための袋として活躍します。家では、何かを保存するための保存用の袋として、学校に上履きとかを持っていくための運搬用の袋として再度活躍します。くたびれて穴が開いたりしたら、ごみ袋としてごみを入れてごみをまとめることができます。一つの袋が何役もして、凄く役にたちます。本当はレジ袋に入れるだけで、有料ごみ袋を利用しないで、そのままごみとして、市のごみ回収日に捨てられたらいいのですが、今は家庭からのごみは、有料指定ごみ袋に入れてから捨てるようになってるので、レジ袋のままでは捨てられないのですね。

この有料指定ごみ袋は、レジ袋と同じポリエチレン製で作られていることがまた、面白いですね。一方で、このレジ袋がごみ袋として利用可能な場合、レジ袋の家庭内での溜め込みが多くなり、結局ごみ袋にもならずに捨てられ、レジ袋の使用量が増えてしまうという研究があるようです(『「レジ袋」の環境経済政策―ヨーロッパや韓国、日本のレジ袋削減の試み』・平成18年7月・舟木賢徳・リサイクル文化社)。

でも、レジ袋が有料化になった今、レジ袋も有料指定ごみ袋としても利用できますよ、となれば、レジ袋を溜め込むことなく、ちゃんとごみ袋として使うようになるのではないかなあと、思ったりもします。この有料指定ごみ袋は、ごみと一緒に燃やされるだけの運命なのです。燃やすだけのためにわざわざ作られているのです。運搬用の袋にもならないし、保存用の袋にもなりにくいですよね。普通、私たちは、有料指定ごみ袋に何か入れて普通持ち歩かないですからね。だから、あまり役に立たない袋がどんどん生産されて、生活に直接大きく役立っているレジ袋に対して社会が冷たく当たるというのが、なんとも不思議です。世の中って不思議ですね。

洗脳されない環境問題(立田真文 著・アメージング出版)より

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