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重い昭和から軽い令和の時代へ

この写真の人物は、長崎県にあった高島炭鉱の労働組合書記長になります。炭鉱が閉山する時、彼は残務整理をし、北海道の仲間に会った後、雲仙にて自殺しています。タバコを吸いながらいい表情をしている彼にとって炭鉱は人生そのもの。書記長としての仕事も、彼にとってすべてだったのでしょう。ここに昭和の働き方をみる思いがいたします。

一方、令和の時代の働き方は多様化し、とにかく選択肢は増えていると思います。仕事がすべてという人も減ってきているでしょう。昭和のような重たい時代とは異なり、とても軽い時代となったわけです。

最近、昭和を回顧して、当時はよかったという意見も聞きますが、私は当時よりはるかに選択肢が増えた現代の方がよいと思っています。会社と労働者の対立の構図も薄まり、かなり対等な関係ができてきています。人口減少社会では、ますます労働者は貴重な存在になるので、会社側の横暴は許されないことでしょう。

昭和を回顧する気持ちもわかりますが、当時の奴隷のような働き方に比べれば、今ははるかに自由があります。そして、実際に社会はよくなってきていると考えることも可能です。20年前に3万人を超えていた自殺者数は、今は2万人程度まで下がっています。同じく20年前に5%以上あった失業率も、今は半分の2.5%程度で落ち着いています。マスコミや世論の論調でネガティブな情報発信があると、気持ちがそちらに引っ張られますが、冷静に分析して、新しい時代に希望を持って生きていくことも大切だと思います。

ちなみにこの写真は、鵜沼享『REMEMBER TAKASHIMA』(忘羊社、2015年)という写真集で見つけたものです。昭和の時代を感じるにはとてもよい素材ですので、当時の時代背景に興味がある方は参考にしてみてください。

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