先日、政府が物流2024年問題の対策の一環として、宅配の置き配にポイント還元する施策を検討していると報じられました。
宅配の再配達問題に対する有効な対策の一つと考えられますが、届いた荷物が破損、盗難されるなどのリスクがあることも同時に懸念されています。
今回は宅配の再配達が環境に与えている影響を鑑み、再配達を減らす工夫についてご紹介します。
物流2024年問題とは?
物流2024年問題とは、日本の物流業界が直面すると予想される深刻な人手不足のことです。
物流業界では、高齢化や少子化により、若い労働力が減少しています。
また、コロナ禍によるオンライン消費の増加や、東京オリンピックの開催などのイベント機会増加で物流需要が高まり、これらの要因が重なった結果、2024年には物流業界で約60万人の人材が不足するという試算が出ています。
再配達が環境に与えている影響
宅配の再配達は配達業者の労働環境の悪化のみならず、地球環境への影響も問題視されています。
2022年10月の国土交通省の調査では、全国で1ヶ月間に再配達になった荷物は30万7511個、荷物全体の11.8%にのぼりました。
また、再配達に伴いトラックから排出されるCO2の量は年間25.4万トンと試算されています。
再配達を減らす工夫
国土交通省が2022年に実施した調査によれば、再配達になった理由の約20%が「配達に来ることを知らなかった」とのことですので、配達の日時がある程度分かっていれば再配達を防げたかもしれません。
1.送る時の工夫
荷物を送る際、日時指定ができる場合は相手が受け取れそうな日時を予め想定して送ることで再配達を減らせるかもしれません。
2.受け取る際の工夫
オンラインショッピングなどで荷物を受け取る日時が指定可能な場合は、ご自身の都合の良い日時を指定しましょう。
また、何か都合が悪くなりその日時では荷物を受け取ることができなくなった場合でも、事前に宅配業者の受け取りサービスに加入していれば、スマホやPCから日時変更が可能です。
更に急に必要となる荷物でない場合は一度に注文することで、物流自体の回数を減らすことも可能です。
宅配BOXの有効活用
それでも再配達を減らせない場合は宅配BOXの活用も有効です。
利便性が高く環境にも社会にも貢献できる宅配ボックスですが、一般的に導入費用が1万~数万円にのぼる、置き場が必要という大きな欠点があり、導入に二の足を踏んでいる声も聞かれます。
これらの欠点を減らしつつ、宅配ボックスを導入する方法をご紹介します。 1.低コスト・省スペースの置き配袋を使う 「置き配袋」あるいは「袋型宅配ボックス」は、宅配ボックスとして使用できる大きな布袋です。
普段は折りたたんだ状態でドア等にぶら下がっており、宅配業者がこれを広げて中に荷物を入れ、ロックをかけられる仕組みになっています。
価格は2,000円~7,000程度であり、導入費用を抑える事が可能です。
また廊下に宅配ボックスを設置できないアパート・マンションでも使用しやすいという特長もあります。 2.鍵付き収納ボックスを転用する ホームセンターで販売されているプラスチックの収納ボックスを使用する方法です。
灯油タンクやごみ袋を収納する大型の収納ボックスは、屋外で使用するために南京錠をかけられる形になっているものがあります。
これを玄関前に置き「宅配ボックス」と記載し、解錠状態の南京錠を下げておけば、宅配ボックスとして使えるようになります。
こちらも3,000~5,000円程度と、ローコストで導入可能です。 3.宅配ロッカーやコンビニ受け取りを使う 近年、都市部や住宅地で増加しているのが、コインロッカーの様な外見の「宅配ロッカー」です。
オープン型宅配ボックスとも呼ばれ、主なものとしてヤマト運輸等で利用できる「PUDOステーション」、Amazonの「Amazon Hubロッカー」があります。
双方、事前にサービスの加入をしていれば利用ができるようになります。
また、荷物をコンビニで受け取れる業者もありますので、上記の宅配ロッカー同様、事前に業者のサービスに加入していれば、自宅や勤務先近隣のコンビニで荷物を受け取ることも可能となります。
私たち一人ひとりができること 自分自身の生活の質を向上させ、環境に貢献し、社会問題の改善も見込める再配達の削減は、SDGsの提唱する「複数の問題の同時解決」にもかなう取り組みと言えます。
何より非常に便利ですので、ご自身のライフスタイルに合わせた活用を検討しましょう。
〈参考文献〉国土交通省HP