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砂糖と油を摂らなければ虫歯にならない

黒沢誠人=幕内秀夫『子どもの虫歯予防は食生活がすべて』(風濤社、2017年)によると、歯磨きよりも食生活に注意することで虫歯になりにくくなることが説明されています。著者の黒沢氏は歯科医師で、幕内氏は管理栄養士です。

歯科医師の黒沢氏は小学校に入学前の4人の自分のお子さんに歯磨きをさせない実験をしています。結果的に4人のお子さんは歯磨きをしなくても虫歯にならなかったのですが、どうしてでしう。答えは日本の伝統食を食べさせるように心がけたからということです。

管理栄養士の幕内氏によると、現代の日本の食事は「工業製品」だといいます。その工業製品(食品)には、ふんだんに砂糖と油が使われています。これらを食べていると虫歯になりやすいということです。また、スポーツドリンクなども大量の砂糖を使用しているので虫歯の原因なるといいます。

黒沢氏のお子さんたちが歯磨きしないで虫歯にならなかったのは、徹底的に日本の伝統食にこだわり続けたからだといいます。もちろんハレの日には甘いケーキも食べさせているのですが、基本的な食事は日本食。次のような10か条の習慣を実践しています。

  1. ご飯をきちんと食べる
  2. 発酵食品を食べる
  3. パンの常食はやめる
  4. 液体でカロリーを摂らない
  5. 未精製のご飯を食べる
  6. 副食は季節の野菜を中心に
  7. 動物性食品は魚介類を中心に
  8. 砂糖、油脂の摂り過ぎに注意
  9. できる限り、安全な食品を選ぶ
  10. 食事はゆっくりと、よく噛んで

黒沢氏はこの実験によって4人のうち1人でも虫歯ができれば実験中止をしようと考えていたそうです。しかし結果は、歯を磨かなくても誰一人虫歯にならなかった。砂糖と油を摂らない日本の伝統食を食べさせていれば虫歯にならないという結果になりました。

この実験は黒沢氏の個人的な試みであり、大学等の研究での実験ではないので再現性があるかは定かではありません。しかし虫歯ができるのは歯磨きをしないからだという仮説は誤りかもしれないということを示唆しています。虫歯ができるメカニズムをあらためて考えるきっかになる書籍だと思いました。

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