pickup
日本では、国民一人あたり、毎日茶碗一杯のご飯を捨てている

「食品ロス」=本来、食べられるのに捨てられてしまう食品のことを指しており、家計にも環境にも優しくありません。今回は食品ロスの現状と対策についてご説明します。

食品ロスの現状

まず、世界の状況ですが2021年のデータとして、

生産された食料のうち約40%、重量にして20億トン以上が毎年のように廃棄されている

ことがWWFなどにより報告されています。反面、

世界では約8.3億人、10人に1人が飢餓状態であり、健康的な食事を取れていない人も31億人いると言われており、食品ロスが生じているにも関わらず、飢餓で苦しむ人もいるアンバランスな状況になっています。

世界の人口は2022年時点で約80億人ですが、2050年には97億人、2080年には100億人を超えることが予想されており、ますます食料不足な状況に陥ることが懸念されています。

また、食品ロスはゴミとして廃棄されますが、生産・加工・物流過程や廃棄に伴う焼却処理で温室効果ガスである二酸化炭素が発生し、地球温暖化へ繋がることも懸念されています。

なぜ食品ロスが多いのか?

本来、食べれる食品がなぜ食品ロスとして廃棄されているのでしょうか?

以下は代表事例ですが、発展途上国と先進国で理由の違いがある様子です。

・発展途上国

収穫技術が低いことや、厳しい気候下での貯蔵が難しいなどの理由により、食品の生産や加工の段階での食品ロスが多いため、技術先進国からの技術支援などが必要な状況です。

・先進国

食品の外観(色つやはいいか?曲がっていないか?など)を重視する外観品質基準が強すぎることや、小売店での大量陳列と売れ残りによる大量廃棄など加工・小売りの過程や、外食・家庭での食品ロスが多い状況です。

つまり、先進国自ら現状を認識し、削減に向けた取り組みを促進する必要があります。

日本はどうなのか?

日本の食品ロスの量は年間で約520万トンとなります。

国民一人あたりで考えた場合、年間で44キロの食品ロスを出している状況であり、毎日、茶碗一杯のご飯を食べずに捨てている状況となります。

更に金額で算出すると、お米5キロが2,500円と仮定すれば年間で約2.2万円、4人家族であれば年間で約9万円のイメージとなり、かなりの支出金額となります。

また、食品ロスを経路別で見れば家庭から出ている食品ロスが47%、各事業から出ている食品ロスが53%となります。

各事業から出ている食品ロスを細分化すると、食品製造業44%、食品卸業5%、食品小売業22%、外食産業29%となっています。

このような状況ですが、日本は食料の60%以上を海外からの輸入に頼っています。

日本での食品ロスが削減できれば、廃棄されていた食品を貧困に苦しむ国が活用したり、そのような国や人に対し支援したりすることも可能であったかもしれません。

食品ロス削減に向けた対策

政府は2000年に980万トンもあった食品ロスを、2030年までに489万トンに半減させる目標を掲げています。

その目標達成に向けた対策の一環として、以下の法令があります。

1.食品リサイクル法 (正式名称:食品循環資源の再生利用等の促進に関する法律)

食品の売れ残りや食べ残し、製造・加工・調理の過程で生じる食品廃棄物などの削減を目的に2000年に制定されました。

事業者に対し食品ロスの発生抑制と減量化による最終処分量の減少、最終処分に至る場合はそのまま廃棄せず飼料や肥料などへの利用と、熱回収による再利用の促進などを求めています。

2.食品ロス削減推進法 (正式名称:食品ロスの削減の推進に関する法律)

2019年に制定され、国民全員が食品を無駄にしない意識醸成と、まだ食べれる食品は廃棄せずに出来る限り食品として活用することを目的としています。

いわゆる「3分の1ルール」などの商慣習が食品ロスになる一因となっていました。

3分の1ルールとは、食品小売業において「賞味期限の3分の1を超えたものは入荷しない」、「3分の2を超えたものは販売しない」という商慣習です。

また「先に入荷したものより前の賞味期限のものは入荷しない」という商慣習もあり、これらによってまだ食べられる食品が大量廃棄されていました。

私たちが出来ること

では、食品ロスを減らすため私たち一人ひとりが出来ることは何でしょうか?

具体的な事例を行動別にご紹介します。

1.買い物編

・事前にストックしている食材を確認し過剰に買わない

・すぐに使う食品は賞味期限の近いものから取る(てまえどり)

・賞味期限間近の商品を格安で取り扱う店で買い物する(Kuradashiなど)

2.調理編

・残っている食材から使う

・廃棄する部材(野菜の皮など)を可能な限り無くし調理する

・食べきれる量を調理する

3.外食編

・食品ロスに積極的に取り組んでいる店を選ぶ

・食べきれる量だけ注文する

・どうしても残った場合は持ち帰り可能か店に相談する

前述した通り食品ロスの約半分は家庭から出ていますので、私たち一人ひとりが現状を認識し、意識を持って削減に向けた行動を起こせば食品ロスの削減に繋がります。

また、持続可能な開発目標のSDGsの中でも「飢餓をゼロに」として、2030年までに飢えを無くし、貧しい人も幼い子供も、誰もが一年中安全で栄養である食料を、十分に手に入れるようにすることをゴールとし、世界中での取り組みが求められています。

限りある資源を無駄にせず、持続可能な社会の実現に向け、出来ることから取り組みましょう。

 〈参考文献〉

 ■WWF HP

https://wwf.panda.org/discover/our_focus/food_practice/food_loss_and_waste/driven_to_waste_global_food_loss_on_farms/

 ■環境省HP

https://www.env.go.jp/recycle/foodloss/general.html

 ■農林水産省HP

https://www.maff.go.jp/j/pr/aff/2010/spe1_01.html

おすすめの記事