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特定外来生物が環境に与える影響

先日、滋賀県大津市で外来生物のサバンナオオトカゲが脱走したニュースが話題となりましたが、本日は特定外来生物の代表歴な事例と環境に与える影響についてご紹介させていただきます。

特定外来生物とは? 

外来生物とは文字通り、古来から日本に住む動植物ではなく、海外などから様々な事情で日本に来た生物を指しています。

その中でも生態系、人の生命・身体、農林水産業へ被害を及ぼすもの、または及ぼす恐れがあるものが特定外来生物として、外来生物法と言う法令で指定されています。

指定された生物の取り扱いについては、輸入、放出、飼養、譲渡等の禁止といった厳しい規制がかかります。

代表的な特定外来生物

身近な生物、意外な生物も特定外来生物として指定されていますので、代表的な事例をご紹介します。

①アライグマ

愛らしい見た目やアニメなどの影響で、一昔前はペットとして飼育されている方もおられましたが、原産地は北米です。

小さな哺乳類、魚類、鳥類、野菜、果実と何でも食べる雑食であり、日本固有在来種への影響が懸念されています。

また、狂犬病に羅漢している可能性や凶暴な性格の個体もあります。

ペットとしての人気種でありましたが、飼育が難しいことから遺棄され自然繁殖されていると考えられています。

②アカミミガメ

日本国内にいるアカミミガメのほとんどは、耳(に見える部分)が赤い亜種ミシシッピアカミミガメです。

お祭りの屋台のカメすくいで見たり、神社などの池によくいますので有名ですね。

アカミミガメは全国各地に定着し、日光浴の場所や食物などをめぐって日本固有在来種のカメ類との間で競合が生じ影響を及ぼします。

また、食性が多岐にわたるため、日本固有の在来生物群集に大きな影響を与えると考えられています。

③オオクチバス

釣魚として人気種であり、ブラックバスと呼ばれていますのでご存じの方も多いかと思われます。

各地で意図的な放流が行なわれてきた可能性も指摘され、一部の観賞魚店では過去に販売もされていました。

世界規模で猛威をふるっている侵略種であり、イギリスや韓国では生体の持込が禁止されています。

日本国内でも京都府深泥池では、オオクチバス等の侵入後に日本固有在来魚の種数が減少したり、個体数が激減したりしていることが確認されており、日本固有の在来生物群集に変化が生じていると言われています。

④アメリカザリガニ

本州以南の野外で生息しているザリガニの多くはアメリカザリガニです。

日本に元々いる在来種のニホンザリガニは、北海道と東北の一部の地域のみに分布し、水が冷たくて綺麗な場所に生息しています。

アメリカザリガニは水生植物を消失させたり、水生昆虫の局所的な絶滅を引き起こしています。

また、ザリガニペストや白斑病などを保菌し、ニホンザリガニを含む日本固有の在来甲殻類に大きな影響を与える可能性があります。

⑤ボタンウキクサ

サトイモ科の浮遊性の常緑多年草で、高さは10cm程度であり、池や沼でよく見る植物です。

1920年代に観賞用として導入され、沖縄、小笠原で逸出、野生化したと言われています。

浮遊性の水草で、水面を覆い尽くして光を遮ることで、他の植物の光合成を阻害することが指摘されています。

大阪市の淀川では、流下から数週間で水域一面が覆われ、水中の光や酸素不足から多くの魚介類への悪影響の恐れが懸念され駆除が実施されました。

対策

特定外来生物の影響を防ぐためには、まず、その侵入や拡散を防止することが重要です。

国際的な取り組みとしては、生物多様性条約やカルタヘナ議定書などがあります。

国内的な取り組みとしては、特定外来生物法や外来生物法などがあります。

これらの法律では、特定外来生物の輸入や移動、飼育や栽培、放流や廃棄などに制限や規制を設けています。

しかしながら法律の施行だけでは十分ではなく、個人や団体も特定外来生物に関する正しい知識を持ち、適切な行動をとることが求められます。

例えば、ペットや園芸用の植物を適切に管理し、決して自然に放さないことです。

また、旅行や釣りなどで外来種を持ち込んだり、持ち帰ったりしないことです。

さらに、特定外来生物の発見や被害に気づいたら、速やかに専門機関に連絡することです。

特定外来生物は、私たちの大切な自然環境や生活に深刻な脅威をもたらしますが、反面、私たちの勝手な都合で元々の生息域から移動させられた被害者でもあると考えられます。

私たちは、その危険性を認識し責任ある行動をとることで、自然と共存する社会を目指しましょう。

参考文献:環境省HP

https://www.env.go.jp/nature/intro/2outline/list.html
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