スタチン剤の目的は「コレステロール値を下げること」ではなく、「動脈硬化や心筋梗塞を防ぐこと」
スタチン剤は確かにコレステロール値を下げてくれます。しかし、本来あるべき効能は、「コレステロール値を下げること」ではなく、「動脈硬化や心筋梗塞を防ぐこと」のはずです。1990年代に北欧やイギリスで、スタチン剤は、動脈硬化のリスクを下げることや、心臓病の予防に有効であるという臨床試験結果が多く報告されていました。
しかし、2004年以降にEUにおいて、薬剤の効能の研究結果について良いデータも悪いデータもすべて開示しなければならない規制が設けられた時、心臓病の予防に効果がないデータがたくさん出てきました。すなわち、規制ができる以前は、データの‶いいとこどり〟によって、スタチン剤が有効に機能していることを装っていたということです。
スタチン剤でコレステロール値は下がるものの、心臓病は予防できない
すなわち、スタチン剤でコレステロール値は下がるものの、心臓病は予防できないということです。逆説的ですが、コレステロール値が下がれば、心臓病にならないということではないということでもあります。あるいは、コレステロール値が高くても、心臓病にならないということです。これは製薬会社にとって不都合な事実ですが、EU域内の人々は規制のおかげで気づきました。しかし、残念ながら日本はそうではありません。
大櫛陽一『コレステロールと中性脂肪で、薬は飲むな』(祥伝社、2008年)によると、ある種のスタチン剤では、副作用の発症確率が30%を超えており、しかもスタチン剤が脳関門を通過することがわかりました。そして、認知症、うつ、記憶消失、睡眠障害など中枢系の副作用があるということです。
大櫛氏は言います。スタチン剤は確かにノーベル賞級のすばらしい発明だと。家族性高脂血症という遺伝的疾病には特効薬です。しかし、家族性高脂血症というのは、人口の2.0%程度しかいません。そこで、高脂血症という病気がつくり出され、コレステロール値が高い人に、かたっぱしからスタチン剤は処方されることになりました。それで売上は伸びたのです。ノーベルが開発したダイナマイトも工事用に使われている限りは、人類の幸福に役立ちますが、戦争に使われているため悲惨な事態を招いているのと同じだということです。
(参考文献)