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生産性を上げる働き方(2)- 環境に「ゆらぎ」を与える

一般的にオフィスワーカーは、都心のビルで働いています。そして、最先端のビルでは、快適と感じられる室温や湿度が一定に保たれているので、さぞかし労働者の生産性も高いと考えられています。しかし、人間は機械ではないので、どうも労働生産性を上げるには、環境に変化が必要なようです。

前回紹介した、梶本修身『すべての疲労は脳から』(集英社新書、2016年)では、ある実験結果が紹介されています。9名の被験者に二つの異なる環境で車を4時間運転してもらい、運転効率の低下度合い等を測定しました。その二つの異なる環境は次のとおりです。

① 被験者本人が快適と感じる車内の室温に固定する
② 被験者本人が快適と感じる車内の室温にプラス・マイナス1.5度の範囲で常にゆらぎを与える

結果は、ゆらぎのない①より、ゆらぎのある②のほうが、疲労感も少なく、作業効率の低下も低く抑えられたそうです。

また、「ゆらぎ」の大切さという点で、NPO法人Nature Serviceが実施した実証実験でも類似の結果が得られています。20名の被験者が都内オフィス環境と長野県信濃町の自然環境の中の両方で働き、脳波測定等したところ、都内オフィスよりも森林環境における労働の方が、作業成績の向上が測定されたそうです。

限られたデータで断言はできませんが、労働生産性に「ゆらぎ」がもたらす効用は意外に大きいのかもしれません。パンデミックのおかげで、働く場所が多様化しました。これを活用しない手はありません。常に同じ環境だけではなく、働く環境を変えてみることで、生産性の向上につながる可能性があるということです。

今まで「ゆらぎ」や「自然」が何となく良いかもしれないとしかいえなかったのですが、実証研究を通じて徐々に科学的根拠を示せるようになってきています。フリーアドレスのオフィスも増えているようですが、ここは、できる範囲で人体実験と思い試してみてはいかがでしょうか。労働生産性の向上につながるかどうか、成果物や出てきた数字の結果などで検証してみる価値はあることでしょう。

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