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大学選びの基準が変わる

18歳の人口は、25年で約半数に

各種統計を調べると、1987年に18歳人口は200万人程度でしたが、2023年現在は110万人です。また、10年後には100万人程度と1987年に比べると18歳人口は半分になります。そして、大学進学率も60%程度になり、国公私立すべての大学入学定員は60万人ほどあるので、希望する人は全員大学に行ける時代になります。現時点でも、大学志願者数と大学総定員数はほぼ同数であることが新聞でも報道されました。

誰でも大学に行ける時代というのは、よいことだと思いますが、一方で学生の目的意識がはっきりしないために大学を中退する人も多いそうです。船橋伸一=河村振一郎『夢をかなえる大学選び』(飛鳥新社、2019年)によると、総合型選抜(旧AO入試)で進学した学生の中退率が30%を超える大学があるそうです。その中には首都圏の名門大学も含まれているということですから、かなり事態は深刻です。地方の国立大学の中退率が1%~5%というレンジだということですから、入学者の3分の1が中退してしまうというのはどういうことでしょう。

入学後の目標を重視

総合型選抜というのは、「その大学で学びたい」という意欲や、入学後の目標が重視されるのが特徴で、基本的に学校長の推薦は不要です。書類審査、面接、小論文などで選考されるので、一般入試のように英語や国語、数学といった科目ごとの受験勉強は不要になります。選考時期も9月~11月が多いです。

このような入試方式で大学進学した学生が中退してしまうのはなぜでしょうか。一つ想定されるのは、思っていたことと大学での学びが異なるというもの。もう一つは、1月後半~3月にかけて行われる一般入試を避けたいからという理由で、安易に総合型選抜を選び、実は十分な意欲や学力が伴っていなかったというのもあり得ます。

偏差値、就職率、立地、知名度など過去の基準で大学を選ぶ時代は終わった

現在、私立大学ではこのような総合型選抜を導入することも増えているということです。そして、一般入試の比率は50%以下になっており、指定校推薦と総合型選抜で50%以上という状況になりました。このように大学の入試方式も多様化したものの、そのために目的意識が希薄であったり、動機が弱かったりする学生も多いのでしょう。

いい大学に入り、いい会社に就職すれば安泰などという時代は終わり、新卒一括採用というのもなくなってきます。労働市場も流動化し、実力のある人が仕事に就ける時代がきています。このような環境では、ますます従来型の基準による大学選びが通用しなくなってきているのでしょう。学生本人が一生学び続けられ、卒業後も情熱が持続するような学びの環境が必要になります。もう偏差値、就職率、立地、知名度など過去の基準で大学を選ぶ時代は終わったということかもしれません。

(参考文献)

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