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戦争で大儲けする人々の存在

人によって戦争は利用価値がある。戦争の原因が何であれ、国家間あるいは集団間の紛争に価値を見出す人々がいる。わかりやすい例では、軍需産業は活況を呈し、戦争当事国に金融機関がお金を貸し付けることができる。そして、戦争の利用価値は金銭的利益のみだけではない。戦争は人々を社会的・政治的に統制するには有効な手段となる。その点、パンデミックと同じ効用があるといえるであろう。

苫米地英人『日本人だけが知らない戦争論』(フォレスト出版、2015年)でも、戦争ほど儲かる商売はないという。そして、不況と戦争はセットであると。

国際金融資本家は好況と不況があるから儲けることができる。お金を湯水のように供給して、好況をつくりだせば、簡単に莫大な金利が得られる。十分な果実が得られた後は、マネーサプライを絞り始める。そして、不況がやってきて倒産や失業が蔓延し、国際金融資本家はタダ同然でそれらの企業を手に入れる。

戦争も同じ原理である。戦争と平和があるから国際金融資本家は儲けることができる。彼らは戦争を仕掛けることによって、平和の時代の果実を手に入れる。しかも、戦争当事国に戦費を貸し付けることで莫大な金利を得ることができる。

考えてみると世界で起きた戦争は、当事国が望んだというよりも、双方を焚きつけるためのシナリオを描いた国際金融資本家の仕業であったともいえるかもしれない。身近なところでは、日本と韓国の間の緊張関係も、韓国の反日教育が一因とされるが、両国が対立することで儲かる人々がいるのかもしれない。過去のソ連とアメリカの冷戦もそうである。二つの世界大戦も日露戦争も、世界のあらゆる紛争と対立は、双方が争うように情報とお金と技術を提供している国際金融資本家の存在があるから生じていたともいい得る。

速水融『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ』(藤原書店、2006年)において、スペイン・インフルエンザは甚大な被害を出したにもかかわらず意外にも多くの人々の記憶から消え去ったという。その後の関東大震災、日中戦争、太平洋戦争といった災害と戦争によるさらなる被害によって、スペイン・インフルエンザの事実がかき消されたのだろうと。

我々もパンデミックの終盤戦にいるのかもしれないが、次のイベントに備えなければならないのではないだろうか。それは気候変動なのか戦争なのかわからないが、決して挑発に乗らないこと、あるいは真実を見抜くことを心がけていかねければならない。これ以上、他人の不幸の裏側で、儲ける人々をつくりだす愚は避けたいところである。

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