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リーキーガット症候群とは腸からのもれ

リーキーガット症候群(Leaky gut syndrome)は、藤田紘一郎博士の『隠れ病は「腸もれ」を疑え!』(ワニブックス、2017年)において「腸もれ」と訳されています。リーキーガットという英語をそのまま日本語訳して、日本人にも問題の核心を理解してもらおうという努力の現れですが、そもそもここでいう腸もれとは何でしょうか。

現代人には、腸に穴があいている人が増えています。穴といっても小さな目に見えないほどの穴です。具体的には、腸の細胞と細胞の間にできてしまう隙間です。しかし、細菌や未消化の栄養素、毒素、腐敗ガスなどは十分に通してしまいます。その結果、腸からもれた腸内細菌などが体をめぐり炎症を起こすことになります。卑近な例としては、アトピー性皮膚炎なども腸もれが原因と疑うことができます。外側から薬を塗るだけでは根治することは難しく、内側から、すなわち腸のもれを改善する必要があるのでしょう。それでは、なぜ現代人に腸もれが起きるのでしょうか。昔はなかったことですが。

それは腸にとって、あたりまえではない食事や環境、モノなどが生活の中に一気にあふれてしまったことが一つの原因ということです。たとえば、身の回りを不自然なほどに清潔にすることがあります。抗菌剤や除菌剤など常用することで腸内フローラを乱れさせます。私たちの腸には約200種100兆個という多様な細菌が集合体を作りながら壮大な生態系を築いています。その全体像は、まるでお花畑のように美しいので「腸内フローラ」と呼ばれています。その腸内細菌も腸の外にもれると体に炎症という悪影響をもたらすわけです。

また、糖質が多くて食物繊維の少ない食習慣、保存料などの食品添加物、抗生物質や薬の乱用、残留農薬や遺伝子組み換え食品の摂取、緊張やストレスの多い生活なども腸もれの原因となります。このような生活を改善しない限り、腸もれの根本原因を取り除くことはできなのかもしれません。

それでは、私たちはこの問題にどのように対処したらよいのでしょうか。一人ひとりが学んで、望ましい生活習慣を心がける必要があります。たとえば、和食を中心にした食事を心がけるだけでもいいでしょう。納豆や味噌、しょう油は、腸内細菌を整えるのには最適です。酢も善玉菌を元気にするカンフル剤といわれています。抗生物質や薬なども極力使わないほうがよいでしょう。お風呂に浸かってリラックスすることも大切です。毎日歩いて運動することも忘れてはいけません。結局、どれもあたりまえのことなのですが、それができない、あるいはできにくいのが現代人なのかもしれません。

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