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定年延長は正しい選択か

この問題は、人それぞれの立場によって答えは異なるというのが結論かもしれない。そして一般的に、高年齢者雇用安定法のおかげで65歳まで定年延長する人が増えているようである。しかし、郡山史郎『定年前後の「やってはいけない」』(青春出版社、2018年)によると定年延長はしないほうがよいという。望ましくは55歳前後で退職し、次の仕事に突入してしまうことがよいそうだ。そして、さらにより良い仕事をみつけて65歳以降も働くことである。そんなにうまくいくのだろうか。

たしかに、同じ会社で65歳まで雇用延長してしまうと、65歳でプツっとキャリアが切れてしまう。また、65歳まで同じ会社にしがみついても、人によっては周囲からは歓迎されないことも多い。上司風あるいは先輩風を吹かせた態度の悪い高齢者を誰も相手にするわけがない。どうせなら、まったく新しい会社で一からやり直します、という気概で謙虚に周囲と接することが大切なようである。70歳を過ぎても働きたいのであれば、なおのことそうしたほうがよい。しかし、これができない人が多い。それは、どの会社でも応用できる技術を持っている人材が少ないからである。その会社のみでしか通用しないスキルや人脈は、年を取ればとるほど無価値になる。

たしかに、同じ環境に身を置き続けることは楽であろう。年齢を重ねた後に職場を変えるのは相当な勢いと覚悟が必要である。よって、なおさら新しい環境に突入するのは早いほうがよいのである。高齢になってから新しいことをはじめるには、それなりの準備期間が必要になるのは理の当然である。飛行機が離陸するのに、ある程度の滑走路の長さが必要であるが、決断を先送りすると滑走路の長さが足りない、ということは起こりやすいということかもしれない。

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