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「お薬でコレステロール値を下げましょう」言われた時に知るべきこと

コレステロールのイメージは、ただのイメージ

一般的に「コレステロールが血管壁にこびりついて、血管がつまったり、血管にダメージを与えて、動脈硬化を進める」と考えられています。しかし、それはイメージであり、近年の研究結果からはそのような事実はないことが明らかになっています。

名古屋市立大学名誉教授で薬学博士・奥山治美による『コレステロールは高いほうが心臓病、脳卒中、がんになりにくい』(主婦の友社、2012年)によると、血液中にコレステロールが多いと、血液がドロドロになって、血管がつまりやすいとイメージしている人も多いでしょうが、その考えに根拠はないことになります。

よく、HDL-コレステロールは善玉で、LDL-コレステロールは悪玉とも呼ばれていますが、これも正しくありません。腸内細菌の善玉菌と悪玉菌と同じで、どちらも必要だから存在しています。善悪二元論は、わかりやすい整理ですが、ミスリードしていることになります。

癌もコレステロール値が高いほうが死亡率は低い

人間の体は約60兆個もの細胞からできているといわれますが、その細胞の一つひとつの膜を構成している成分がコレステロールです。ですから、私たちの命はコレステロールなしでは維持できないのです。

また、LDL-コレステロールは、体内に入り込んだ菌やウイルスの毒素を中和する働きも持っています。ですから、LDL-コレステロール値が高い人の方が、感染症にかかりにくいともいえます。

さらに、悪性腫瘍のがんについても、総コレステロール値やLDL-コレステロール値が高いほうが死亡率は低いという調査データもたくさんありますが、あまり注目されません。

このようにLDL-コレステロールは悪玉だと断定することにいかにミスリーディングかわかると思います。そして、健康診断でコレステロール値が高いと、「お薬でコレステロール値を下げましょう」というのがお決まりのコースになります。これが未病の人々を病人に導くメカニズムといえるかもしれません。

コレステロール値を下げる薬に、心臓病などの予防効果はない

そして、臨床現場ではスタチン剤というコレステロール値を下げる薬が多用されます。しかし、スタチン剤でコレステロール値は下がりますが、心臓病などの予防効果はありません。そのような研究結果も顧みられることがないというのはかなり問題だと思います。このような事実を踏まえると、自分の健康のためにも、医師に依存することなく、ある程度自分で調べて意思決定することが必須になります。自分の命を医師に委ねるという他律的態度は、のちに多くの問題を自分の身に引き起こすことになるでしょう。

(参考書籍)

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