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日本人が喜んで食べているチーズは本物?

日本人が食べているチーズの多くは、本物ではないことをご存じでしょうか。フランスのチーズは本物が多いですが、一方でクセがあるので、日本人の嗜好に合わないということもあります。しかし、これほどニセモノのチーズを喜んで食べている国民は日本だけかもしれません。

河岸宏和『「外食の裏側」を見抜くプロの全スキル、教えます』(東洋経済新報社、2014年)によると、代替食品ともいわれるニセモノ食品は、コストを下げるために、混ぜ物を入れて本物のように売っている商品になります。その典型例がチーズで、わかりやすいのが外食チェーン店の人気メニューの一つでもあるドリアです。

安くて多くの人が注文しますが、そこで使われているチーズは「チーズフード」というわれるものです。「チーズフード」というのは、「プロセスチーズ」や「ナチュラルチーズ」を溶かして、小麦粉を加えて、乳化剤や香料を混ぜて固めたものになります。

製品中のチーズの分量が51%以上あれば「チーズフード」と表記できますが、チーズの含有量は「プロセスチーズ」よりも少ないことになります。また、「プロセスチーズ」も「ナチュラルチーズ」に比べると、乳化剤や安定剤などが入っている本物とはいえません。日本人の多くがチーズと思って食べているのが「プロセスチーズ」になります。

このように、「チーズフード」や「プロセスチーズ」などの味に慣れてしまうと、今度は本物の「ナチュラルチーズ」はクセがあっておいしいと感じなくなることがあります。本場フランスのチーズは、少し苦手という日本人は意外に多いのではないでしょうか。味覚が本物を見分けられなくなるというのは、何となく寂しい感じがします。戦後、経済合理性だけを追及した、日本の食品業界ですが、日本人の味覚を破壊してしまったのは残念なことです。

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