「HYGGE」ってなに?
「HYGGE」という言葉、皆様はご覧になったことがございますか? なんて読むのでしょう? ちょっとややこしいスペルだな、なんて思ったりしませんか?
このような疑問について、今回参考にする本『HYGGE 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』の著者、マイク・ヴァイキングさんはこう述べています。
『どう読むのかなんて、ささいなこと。
「HYGGE」というスペルだって、問題ではありません。
かの偉大な哲学者「くまのプーさん」もこう言っています___
「つづりなんか、どうでもいいんだよ。ただ感じればいいだけさ。」
スペルや発音を説明するのは簡単です。でも、「ヒュッゲっていったい何?」をきちんと説明するには、ちょっとしたセンスが必要です。』
この記事では、「世界でもっとも幸せな国」の上位に名を連ねる北欧・デンマークから「幸せのカギ」を学ぶため、そしてデンマークと深く関係がある「ヒュッゲ」を作り出すヒントを一緒に探していければと思います。
新型コロナウイルスの影響により、私たちは「自分と向き合う時間」が増えたのではないでしょうか。そして、同時に「暮らし・ライフスタイル」がキーワードにもなっていたと思います。皆様の暮らしに何か変化はありましたか?
デンマークは家族との時間、友達との時間、パートナーとの時間を非常に大切にしています。もちろん、自分自身の時間も。
ヒュッゲのルール10ヵ条
前置きが長くなりましたが、『HYGGE 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』の序章に書かれている「ヒュッゲ」とは何なのか、文章を引用して紹介させていただきます。
「『人との温かいつながりを作る方法』『心の安らぎ』『不安がないこと』もヒュッゲですし、『お気に入りのものに囲まれて過ごす幸せ』『心地よい一体感』」もヒュッゲ、そして私のお気に入り、『キャンドルのあかりのそばでココアを飲む』こともヒュッゲ。どれもこれもヒュッゲなのです。」
こちらの文を読んで、「ヒュッゲ」が一体どのような意味なのか、なんとなく分かりましたか? さまざまな心地よい環境や状態のことをヒュッゲと呼ぶのですね。心も温まる言葉なのかもしれません。
デンマークの「幸せのカギ」として、文献ではデンマークの人々の「ヒュッゲな暮らしへのこだわり」が紹介されています。例えばキャンドルや照明、食べ物・飲み物、着こなし、だれかと共にあること…など、読むだけでも心がぽかぽかしてくるような内容ばかりです。
「シンプルな幸せ」を作る「ヒュッゲのルール10ヵ条」という素敵なルールも紹介されていました。良ければ一つからでも、今日から始めてみませんか?
① 雰囲気…部屋の明るさは、ほのかに
②「今」「ここ」…携帯の電源を切って、「今ここ」に集中しましょう
③ お楽しみ…コーヒー、チョコレート、クッキー、ケーキ、キャンディー、大好き!
④ 公平・平等…「私(Me)」より「私たち(We)」。時間と家事はシェアして
⑤ 感謝…「ありがとう」と言って受け取りましょう
⑥ 調和…勝負や成功をひけらかすのは、かっこ悪い
➆ 気楽さ…ひと休みして、リラックス
⑧ 平和…波風立てるのはやめましょう。政治の話はまた今度
➈ 一体感…相手との間にどんな物語がありますか
➉ 安らぎ…穏やかで不安のない場所を大切に
すべてを無理に行動する必要はありません。できそうなこと、自分の暮らしを、自分自身を大切にするためにちょっぴり意識して過ごしてみるのはいかがでしょうか。
社会面から見たデンマーク
次に、デンマーク人はなぜ幸せなのか、社会的な面から見てみましょう。著者は、最大の理由は「社会保障制度」にあるといいます。福祉が行き届いていることで、国民の不安、心配、ストレスが軽減されているのです。やはり幸福と社会の状況は密接なつながりがあるのでしょう。
デンマークのほかにも北欧はノルウェー、スウェーデン、フィンランド、アイスランドがありますが、どの国もデンマーク同様にレベルの高い福祉を実現しており、幸福度ランキングの上位に北欧諸国がずらりと並ぶ理由になっているのだそう。
北欧のなかでもデンマークとほかの北欧諸国の違いを解き明かすキーワードは、今回のテーマでもある「ヒュッゲ」なのかもしれないと著者は述べます。
デンマークが特に高い幸福度を感じている理由の一つとして、仕事と生活のバランス(ワークライフバランス)がうまくとれているおかげで、家族や友人と過ごす時間を十分にもてていることがあります。幸福には人間関係が深くつながっているのですね。
大切な人との時間は、私たちを幸福にしてくれるのだと思います。同時に、前向きな気持ちをくれます。また、「前向きな気持ちを持つ」ことは「ネガティブな気持ちを持たない」ことよりも、幸福度におよぼす影響が大きいという調査結果が出ているそうです。たしかに、ネガティブを考えないようにと気持ちを押し込むのではなく、悲しい気持ちを受け入れて、のちに前向きな言葉に言い換える、という方が自分自身にも優しくできるような気がします。
まとめ
終わりに、著者のまとめの言葉をご紹介します。
「現実を直視すると、私たちの生活はバラ色の天国というわけではありません。しかしヒュッゲとは、むずかしい状況の中でも、今持っているものを上手に活かすことであり、日々の生活にしっかりと根を下ろすことなのです。」
筆者も、この記事は小さなキャンドルを灯して温かいコーヒーを飲みながら書いています。忙しない日々の生活の中で、皆様の大切な時間、大切な人との時間、穏やかな時間を、少しでも過ごすことができるヒントが見つかりますように。
(参考文献)参考文献『ヒュッゲ 365日「シンプルな幸せ」のつくり方』(三笠書房)