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地球温暖化は人類の仕業なのか

一般的に、地球温暖化の原因は、炭酸ガス排出による温室効果だといわれます。これは、気候変動に関する政府間パネル(以下「IPCC」)の報告書に拠るところが大きく、マスコミの報道もあいまって、多くの人が信じている説です。そのため、脱炭素ビジネスは非常に盛況なわけですが、これが正しいかというと、多くの異論があるのが事実です。

その一つとして、赤祖父俊一『正しく知る地球温暖化』(誠文堂新光社、2008年)は、脱炭素を煽り、ビジネスにつなげる人々を「温暖化商人」といい、人類の活動が地球温暖化をもたらしたという説に異議を唱えます。そして、IPCCの報告書は、炭酸ガスが温暖化の原因であるという結論に沿う科学的データを集めて作られていることを指摘します。また、IPCCが招いている研究者は、IPCCの結論に合致する人だけ選ばれており、異なる説を唱える研究者には声がかかりません。このような偏った報告書に基づいて、各国が政策立案すると無駄なコストが発生して、大変な損失をもたらすことになりかねません。

IPCCは1900年代の中ごろから気温が急上昇しはじめたのは、人類の活動による温室効果ガスによるものとします。たしかに、1946年頃から化石燃料による大気中の炭酸ガスは急速に増加しはじめており、その事象と、気温上昇が一致するという結論のようです。しかし、赤祖父氏の研究は、この説を否定するものです。現在進行中の温暖化の大部分は、地球の自然変動によるもので、人類の活動により放出された炭酸ガスの温室効果によるものは、ほんのわずかであるといいます。

赤祖父氏の指摘する、地球の自然変動というのうは、1400年から1800年という期間にあった「小氷河期」という期間から、現在の地球は回復中であるというものです。すなわち、1800年頃から地球は気温が直線的上昇しており、IPCCのいうように、1946年以降に急上昇しているわけではないということです。よって、IPCCの報告書は「小氷河期」という自然現象を見落としているのか意図的に無視していることになります。

しかし、急激な温暖化の証拠はあるではないかと、マスコミは、氷河が溶けて氷の塊が水しぶきを上げて海中に落ちていく映像を示します。しかし、このような現象は温暖化の原因ではなく、日常の光景であるといいます。あるいは、北極海の海氷が解けて後退しており、白クマが溺れて死んでいるなどという報道もあります。しかし、これも事実ではなく、海流と風で海氷が動いているだけで、炭酸ガスのために溶けているのではないといいます。海面上昇も連続観測によると、1900年代中頃ではなく、1850年頃からすでにはじまっていたということです。このように、IPCCの報告書に対しては、反論できるデータや証拠は揃えることができるのです。

赤祖父氏の研究から、1800年代から現在まで気温が上昇し、しかも直線的な上昇があったことが明らかになっており、IPCCの報告のように、1946年頃から急激な気温上昇にはなっていないのです。また、1600年代や1700年代は現在に比較して気温が低かったことがわかっています。実際、1600年代にはロンドンのテムズ川がしばしば凍結し、氷の上で市場が開かれ、スケートを楽しんでいる絵も残っているそうです。この「小氷河期」という自然変動はなぜIPCCによって無視されたのでしょう。

このように赤祖父氏はIPCCの断定的な説に対して懐疑的です。たしかに、長期的な視点を持つと、少しは再考の必要があることがわかります。たとえば、現在のように温暖であった中世期の1000年頃、あるいは1400年頃からはじまった寒冷化、最近では1910年から1940年に起きた温暖化、そして、1940年から1975年まで続いた寒冷化、どれをとっても、我々は十分な根拠をもって原因を証明できていないといいます。1910年から1940年の温暖化などは、炭酸ガスの放出が急激に増える前の現象なので、自然変動による可能性が高いでしょう。

このように、IPCCの報告をもとにマスコミを通じて信じ込まされている、炭酸ガスによる地球温暖化説については、いろいろな角度から検証する必要がありそうです。少なくともIPCCの報告書を鵜呑みにして、膨大なコストをかけて対策に取り組むことについては慎重になった方がよいのではないかと思えます。もう少し多面的な分析や長期的な検証が必要ではないでしょうか。

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