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なぜ日本はダントツで学ばない国なのか?

アジア太平洋地域(APAC)14ヵ国・地域の主要都市に住む人々の働く実態や意識、仕事に対する考え、転職状況、働くことを通じた成長などについて調査した、パーソル総合研究所「APAC就業実態・成長意識調査(2019年)」の報告によると、日本人は、「勤務先以外での自己啓発や学習は何もしていない」という項目でダントツ1位になっています。さらに、管理職になりたくないでも1位、会社で出世したくないでも1位、起業・独立したくないでも1位です。これでは、日本という国の発展はありません。どうしてこのようなことになるのでしょうか。

なぜ日本人は学ばないのか?

管理職になりたくないとか、会社で出世したくない、というのは生き方の問題なので、あまり気になりませんでしたが、日本の大人が学ばないということについては、危機感を感じました。この点、私は日本の教育制度に問題があると思います。毎日学校に行って、文部科学省の審査を通過した教科書をベースに、クラス全員で同じことを学ぶ。先生のいうことが正しいという前提で授業も進むので、異論や反論は受け付けない。生徒の質問に対して、「実際はどうなんだろうね、、、?」といっしょに悩んでくれる先生はどれだけいるでしょうか。

義務教育がそんな感じですから、高校でもその延長線上で授業は進みます。そして、晴れて自由に学ぶことができると大学に進学すると、その自由さのあまり誰も学ばなくなります。そして、会社に入社すると、今度は終身雇用という日本の独特のシステムのおかげで緊張感もなく、そこでも学ばないことになります。

日本では大学院で研究する人が非常に少ない

そのことを実証するかのように、日本では大学院で研究する人が非常に少ない傾向にあります。次の図表をご覧ください。学部生に対する大学院生の比率をみると、日本はダントツで学ばない国なのです。わが国が学歴社会だというのは、大きな勘違いです。そして、学ばないから労働生産性も低いのかもしれません。因果関係は特定できませんが、可能性は否定できないでしょう。

一方で、企業が新卒一括採用と終身雇用を維持してくれているので、失業率は低く抑えられています。フランスのように労働生産性は高いが失業率が高い社会は受け入れられませんが、何事もバランスは必要でしょう。そして、従来のシステムを日本企業は維持できなくなっていますので、こちらから先に手を打つ必要があるわけです。やり方はそれぞれでしょうが、このまま学ばない国を続けるのは難しいと思います。

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