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日本の医療に対する視点を変えてみる

日本人は長寿というわりには病人だらけで、年間の医療費は40兆円を超えています。しかも年々増加傾向です。医療費の一割負担が三割負担になっても病院に行く人は減りません。医学が進歩しているのであれば、医療費は減りそうなものですが、そうではありません。ここで問題なのは、医学といっても予防医学が進歩しなければ、医療費は減らないということではないでしょうか。また、自分で治せる病気を医師に依存するという考えが染みついているのも問題かもしれません。どこか私たちの病気に対する認識に課題がありそうです。

今、先進国では、がんで死ぬ人は減っています。ところが、日本だけががんで亡くなる人が増え続けています。安保徹『免疫力で理想の生き方・死に方が実現する』(さくら舎、2013年)によると、原因の一つに抗がん剤があると指摘します。大手の製薬会社に対する遠慮があるといえないことです。

抗がん剤を使うとき、医者は患者に「抗がん剤で治る」とはいいません。みんな治っていないのですから。ではどういうかというと、「これを使わないとすぐ死ぬけれど、使えば一年生きる」というような言い方をするそうです。そのとき、患者はどうせ死ぬなら自然死を選ぶという選択肢もあるのですが、医者による脅しの台詞を聞くと、余命1ヶ月を1年にできるのであれば「抗がん剤治療をお願いします」といってしまうわけです。

安保氏によると、そもそも抗がん剤を使ったほうが長生きするというのは立証されていいないといいます。健康診断でがんが見つかった人たちは健康診断で見つかるのですから、そのときは普通に仕事をしていたわけで、その人たちが髪の毛が抜けて、食べられなくなって、四カ月後には骨と皮だけになっているのです。もし健康診断で見つかっていなかったら、普通に暮らしていたはずです。ただそれだけの問題ですと。

ここにもある示唆があります。人間ドックのような高度な検査が本当に必要なのかということ。本当は「病気」という定義に含めなくてもいいようなものまで、病気にされて、余計な治療が行われていないのかということです。抗がん剤にしても、人間ドックにしても、あらゆる日本の医療というものをよくよく考えてみなければ日本の医療費は増える一方なのかもしれません。

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