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三週間「脱小麦」生活をするだけの治療法

どうも最近、小麦の弊害に関する書籍が目につくようになりました。かつてはそれほど注目されませんでしたが、多くの医師が学術論文をベースに一般書として世の中に出して警鐘を鳴らしています。本間良子『長生きしたけりゃ小麦は食べるな』(アスコム、2020年)もそのような書籍の一冊です。本間氏は自分の臨床経験から、体の不調の多くは、三週間「脱小麦」生活を試すだけで症状が改善するといいます。そんなに小麦がいけないのでしょうか。たしかに、日本人が小麦を多く食べるようになったのは第二次世界大戦後で食の歴史が浅い分、わからないことも多いかもしれませんので、小麦がもたらす負の側面というのは明確に理解されていないのかもしれません。

本間氏の指摘によると、小麦に含まれるたんぱく質のグルテンが原因で、体のいたるところに炎症を起こすと指摘します。そして腸で炎症を起こすと、やがて腸に穴が空き、腸内環境の悪化で様々な体の不調を招きます。脳にも炎症が起きるので、集中力の低下やイライラやもの忘れ、認知症を招く原因にもなります。本間氏の提言によると、私たちの健康にこのような弊害をもたらす小麦を三週間やめるだけで、多くの症状が改善されるそうです。

どうして小麦は体によくないのでしょうか。毎日のように小麦を食べ続けると、体内のいろいろな部位で炎症が起こり、その炎症を鎮めるために副腎という臓器からコルチゾールというホルモンが大量に分泌されます。副腎が過剰に活躍し大量にコルチゾールを出過ぎると、それが慢性的な下痢や便秘を引き起こし、小腸の炎症をもたらします。納豆やヨーグルトなどの発酵食品や食物繊維を積極的に食べて努力している人も多いでしょうが、小麦を食べている限り、小腸における炎症のために症状は悪化します。炎症のために腸に穴が空くので、どんなに良い食材を食べても、その穴からもれていまい、体中に栄養素や毒素が回ってしまいます。

副腎から分泌されるコルチゾールは、体や脳の炎症を抑える「火消し役」なのですが、小麦を食べ続けると、この副腎が疲弊してしまい、コルチゾールの適切な分泌ができなくなるので、その火消し役としての役割が適切に発揮されなくなるわけです。よって、副腎の疲弊を解消するために、小麦を三週間やめるという治療法が提唱されるわけです。

コルチゾールは炎症を抑える火消し役といいましたが、分泌過剰になると、逆にお腹が出てきたり、顔がむくんだりすることにはじまり、高血圧や高血糖、脂質異常などになります。過剰に分泌されることは問題で、副腎疲労が進むと体内の炎症に対応できる状態ではなくなるということです。また、小麦を食べ続けると炎症に対する消火活動が休みなく続いて、やがては副腎のほうが「燃え尽き」てしまうことにもなります。

本当の人間の体は複雑で、まだまだわからないことが多いと思います。どれが正しい説であるかを見極めるのも難しいと思います。ただ、小麦を三週間やめても代替食品はいくらでもあるので、健康に問題はないでしょう。よって、原因不明の体調不良のある方はやってみる価値はあるかもしれません。

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