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こんな「ずるい言葉」を使っていませんか?

「あなたのためを思って言っている」という言葉

この言葉って、いい言葉なのでしょうか? 

どちらかといえば、優しい言葉ではなく、強い言葉だと思います。

言われて少しもやもやする言葉って、今まで言われてきたことがあると思います。では、なぜもやもやするのか、これらの言葉がどのような心理で発信され、また言われたときはどのように受け止め整理するべきなのかを、今回は考えてみたいと思います。

参考文献として取り上げさせていただいた『10代から知っておきたいあなたを閉じ込める「ずるい言葉」』を参考に、よくある「もやもやを生む言葉」を2つピックアップして紹介させていただきます。この記事を読んで気になった方がいらっしゃれば、ぜひ実際に本を手に取って読んでいただければ幸いです。

さて、文献の題名が「10代から知っておきたい」というのはなぜなのかというと、「もやもやする言葉」というのはどうしても弱い立場にある人が言われてしまいがちです。大人から子どもへ、親から子どもへ、先生から子どもへ…のような場面が多いからであると著者は述べます。しかしながら、社会に出ると、先輩から後輩へ、上司から部下へ言われる言葉でもあるのです。そのため、10代だけではなく、10代から老若男女すべての人々にとっても大切な学びでもあります。

言われたことがある人はもちろん、言ってしまったことがある、言ってしまいそうだという方にもぜひ一緒に考えていただければと思います。きっとこれらの言葉の背景をしっかりと整理することができれば、「閉じ込められる」ことは無くなるはずです。

「あなたのためを思って」の言葉の心理

では、先述したこの「あなたのためを思って言っている」という言葉は、どのような背景があって相手から生まれるのでしょうか。

著者は、この言葉を言う相手の心理は「根拠を説明できないけれど縛りたい」のだそうです。

例えば子どもが「ダンサーになりたい」と言ったとき、「親が成功する人なんて一握りだからやめなさい。それよりも身になる勉強しないさい。あなたのためを思って言っているの」と言ったとします。けれどこの返しって、よくよく考えると根拠や理由にはなっていませんよね。親の気持ちとしては子どもへの心配が第一ということと、心配だからできるだけ手元に置いておきたいなどの感情なのかもしれませんが、著者が述べる通り、これは「根拠は明確にないけど縛っていたい」ではありませんか?

ではこの言葉に対して何も返す言葉もなくもやもやしたまま終わらないためには、著者はアンサーとして

「どうして私のためになるのか、説明してもらっていいですか」

が最適だと言います。自分が諦めたくないのであれば、そう返してみるのもいいのかもしれませんね。

「いい経験だったんじゃない?」という言葉

 次に紹介する言葉は、「傷ついたのもいい経験だったんじゃない?」です。この言葉もよく耳にしませんか?

こちらも例えてみますと、昔いじめられた経験を友人に伝えたとします。そうしたら友人から返ってきた言葉は「今そうやって話せてるんだったらいいと思う。傷ついたのもいい経験だったんだよ。」でした。こう言われてしまうと、なんだか本音も何も返せなくなってしまうという感じがします。

伝えた自分自身も「どうしてあなたがそれを決めるのか」と思ってしまいます。ではどうしてこの言葉を相手は言うのでしょうか。

著者はこの背景にある心理を「受け止めるのにエネルギーのいる話だから勝手に片づけて早く楽になりたい」といいます。

相手の受容できるキャパシティを超えてしまうときに発言する可能性が高いのです。本来受容ができる人であればその人の当時の感情を受け取り、「そうだったんだね、辛かったね」となりますが、受容が追い付かない、または難しいとなった場合、勝手にその時の経験を意味づけされて終わらせに来るのです。では、この言葉に対してどう受け止めると良いのかのアンサーとして、著者は「経験の意味を決めるのは自分」という気持ちを持つことです。

相手の返しに対して「そうなのかな」と真に受けないことが大切だといいます。自分の経験は自分のものですから、自分の心で意味を見つけていいのです。わかっていても難しい場面もありますよね。ですから、時々立ち返って意識してみるといいかもしれません。

「ずるい言葉」に気をつけよう

ここまで2つの「ずるい言葉」を紹介させていただきましたが、この文献で紹介されている「ずるい言葉」はもっとたくさんありますので、ぜひ実際に読んでみてください。

筆者はこの本のポイントは「ずるい人」ではなく「ずるい言葉」であることだと感じています。

それは誰しもが言ってしまうことがあり、そして誰しもが言われることがあるからではないでしょうか。言葉の背景を知ること、そして受け止め方を知ることは自己理解と自己覚知にもつながっていくと思いますので、これを機に学んでみてはいかがでしょうか。みなさまの「自分らしく生きていく」一つの材料になるかもしれません。

参考文献:10代から知っておきたいあなたを閉じ込める「ずるい言葉」 著:森山至貴 WAVE出版

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