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「地球温暖化論」は悪用されているのか

人類が排出する二酸化炭素に起因する地球温暖化論に対して懐疑的な見解を示している研究者の方は多いですが、その中でも赤祖父俊一氏は、かなり早い段階から異議を唱えていらっしゃいました。ご本人は気候学者というよりは、オーロラ研究の第一人者であり、気候学と少しズレた専門領域の立場であるからそ、鋭く地球温暖化論の非論理性を批判できるといいます。

赤祖父氏の『正しく知る地球温暖化』(誠文堂新光社、2008年)によると、地球温暖化論の発信元の一つである、気候変動に関する政府間パネル(以下「IPCC」)の研究には、印象操作や情報操作、データ改ざん、あるいは都合の良い情報だけを参照するチェリーピッキングが存在し、およそ「科学」といえない結論が含まれているといいます。

赤祖父氏は、たとえば、データの分析対象に関する不備を指摘します。すなわち、地球が温暖化しているという主張に対して、より長期のデータを分析すると、1400年から1800年頃まで地球が経験した「小氷河期」が考慮されていないので、近年になって急激に気温が上昇しているようにみえるだけであるといいます。IPCCの研究対象よりもより長期の期間を観察することで、小氷河期の寒冷期から徐々に、しかも穏やかに気温が上がっているだけということがわかるそうです。たしかに、一年を通して感じる私たちの感覚でも、11月に急に寒くなったからといって、その冬が厳冬だと結論付けるのは無理があります。少し長い期間で様子をみる必要があるのは、私たちの日常でも当てはまることかもしれません。

そもそも地球の温暖化は、人類の活動が二酸化炭素を大量に排出するようになった、1900年頃から急にはじまったわけではなく、それ以前からすでにはじまっていました。よって、IPCCは私たちの様々な活動が原因であると結び付けて、地球温暖化論なるものを作り上げたことになります。そして、「脱炭素」なるスローガンは、政治的あるいは商業的な材料に使われます。本当に人類のためなのか、単に今だけの儲け話なのかは見極める必要がありそうです。たとえば、赤祖父氏はIPCCの報告の背景に存在する「温暖化商人」の存在を指摘します。この地球温暖化論のおかげで、膨大なビジネスが創出されていることは私たちも知るところです。

そうはいっても、IPCCに参加している世界の2,500名の専門家の一致した見解として報告書を出しているではないか、という人もいるでしょう。そのような方に対して、赤祖父氏は、進歩中の学問で一致した見解ほど、その学問の進歩を妨げるものはないと断言します。赤祖父氏がオーロラ研究で何か貢献したことがあるかと問われれば、それまでの「一致した見解」のいくつかを破ったことであるといいます。

この分野の専門家ではない私たちには赤祖父氏のような分析・評価は難しいのは認めなければなりません。しかし、ある程度調べることは可能でしょう。その場合、大手メディアの情報やネットの情報だけで判断することは控えた方がよいでしょう。それこそ、IPCCの思惑、あるいはその背後にいる「温暖化商人」の意向が働いているかもしれません。情報の利用者である私たちと利益相反がある可能性は否定できません。よって、何冊か地球温暖化に懐疑的な文献を参照し、いくつかの論点を抽出して、自分なりに考えていくことが大切なのではないでしょうか。複数の研究者の見解をつなぎ合わせると、それなりに自分の考えも整理されると思います。人類のため、地球環境のため、未来の子どもたちのため、といった発想はもっともなことで批判しにくいのですが、それを超えたところに確からしい事実があるかもしれません。

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