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無実の罪をきせられたコレステロール

健康に関する説についてどれが正しいのか判断するのはとても難しいことです。私たちは一般的に、「カロリーは制限すべき」、「脂肪が糖尿病の原因」などと信じていることが多いと思います。しかし、医学に限らずあらゆる分野に「誤謬」というのがあります。簡単にいうと誤りです。英語でエラー(error)ともいっています。この誤りを見分けるのは、非常に難しく、通説を形成している権威によってうまく隠されていることがあります。

たとえば、コレステロール悪玉説も、私たちの健康診断でいつも指摘される項目で、根強くコレステロール対する嫌悪感や忌避感というのがあるのではないでしょうか。宗田哲男医師によると、近頃、このコレステロール悪玉説も崩れつつあるといいます。

宗田氏の著書『ケトン体が人類を救う』(光文社新書、2015年)によると、コレステロールというのは体内の主要成分であって、特に脳は水分を除けば脂肪が40%を占め、さらにその30%がコレステロールでできているといいます。

従来、脳梗塞や心筋梗塞、動脈硬化などの疾患は、コレステロールが原因とされていましたが、最近になって、実は梗塞の現場にコレステロールが見つかっただけで、コレステロールが犯人ではなく、血管損傷の修復係であることが明らかにされてきました。火事の現場で見つかったコレステロールは、放火犯ではなく消防士だったという話です。

2015年4月1日には、厚生労働省はコレステロールの食事での摂取制限を撤廃しました。また、「卵をたくさん食べてはいけない」という栄養指導くらい古典的なものはありませんが、これも意味がないということになりました。コレステロール220以上で異常だといってコレステロール降下薬を飲まされますが、これもまずいことに鬱の引き金になるようです。精神科医とJR東日本が協力して、JR中央線で自殺した人を調べると、9割が55歳から60歳、ほとんどが男性で、見事に全員がコレステロール降下薬を飲んでいたそうです。

コレステロール悪玉説を起点に、いろいろな対処法を実践する人は多いと思いますが、あらゆる学問分野には誤謬というものがありますので、自分の判断が正しいかどうか、一度自分なりに調べてみることも大切かもしれません。

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