「牛乳は、カルシュウムいっぱいで体にいい」、あるいは「牛乳を飲むと背が伸びる」ともいわれます。どちらかというと、私たちにとって理想的な飲み物と考えている人が多いかもしれません。しかし、本当にそうなのでしょうか。実はこの認識に誤りがあるのかもしれません。そもそも、ほとんどの小学校では給食で牛乳が出ます。おかずが和食でも、主食がご飯でも牛乳です。冷静に考えると、この組み合わせは最悪です。
牛乳は健康にいいという固定観念はどこからきたのでしょうか。1946年、アメリカの小児科医であるベンジャミン・スポック博士が書いた育児書の中に、子どもに牛乳をたくさん飲むように指導されていました。この内容が日本の栄養士に教育され、母子手帳もこの考えを基本に作られました。しかし、スポック博士の育児書はその後何度も改定され、第7版においては、牛乳はとるべきではない飲み物という内容になっていたのです。実はスポック博士も牛乳の害についてその後、気がついたということのようです。
内山葉子『パンと牛乳は今すぐやめないさい!』(マキノ出版、2020年)では、牛乳を最低でも3週間飲まなければ、今あるアレルギーなのどの症状はかなり改善されるといいます。そして、牛乳の問題は、乳たんぱく質の80%を占めるカゼインが問題だといいます。そして、このたんぱく質のカゼインを分解する酵素を私たちは持っていないのだそうです。
2014年に話題となった、スウェーデンの大規模研究では、牛乳を多く飲んだ人の方が寿命は短く、女性では骨折が増えるということがわかりました。日本でも少人数のデータですが、ほぼ毎日、牛乳・乳製品をとる人に比べて、ほとんどとらない人の方が、体内のカルシュウム量が高い傾向にあるという意外な研究報告があります。内山氏の見解ですと、牛乳のカルシウムは、人体でうまく利用できないうえ、現在ある骨のカルシウムも溶け出してしまうということです。毎日牛乳を飲むと、いずれ骨粗しょう症の症状が出るかもしれないということです。
また、牛乳は本来、牛の赤ちゃんが体重を一日に一キロ増やすために、必要な成長ホルモンが含まれており、この成長ホルモンとガンのリスクの相関も疑われています。特に乳がんについては、牛乳・乳製品との関連が研究対象となり、医学会でも取り上げられるようになっています。私たちは健康に関する様々な固定観念を持っていますが、一度それをゼロベースで見直すことも必要なのかもしれません。