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糖質依存の食生活は正しいのか

ヒトは主に何を食べて生きてきたのか。この素朴な疑問に対して、今の日本人が「主食」としているお米、あるいはヨーロッパや中東で食べられているパンという答えが思い浮かびます。

しかし、人類の長い歴史を紐解くと人類が農耕をはじめたのはごく最近です。仮にホモサピエンスをスタートと考えると人類の歴史は700万年ですが、農耕文化ははじまった後の歴史は1万年以下です。結局、699万年以上の長い間、人類はお米も小麦も食べていないわけです。どのように食料を調達していたかというと、やはりそれは狩りです。よって、肉や魚が主食だったということになります。

このような歴史的事実を前提に、今の糖質依存の食生活に問題提起をされるのは、宗田哲男医師です。著書の『ケトン体が人類を救う』(光文社新書、2015年)では、専門の糖尿病妊娠の糖質制限による成果が紹介されています。宗田氏の多くの実績からすると、糖尿病の治療には糖質制限をすることが効果的であるようです(ケトン体については、専門的な説明が必要なので、別の機会に解説いたしますが、糖質制限をするとブドウ糖の代わりに、私たちがエネルギー源とする物質がケトン体になります)。

一般的な治療法は、摂取カロリーを下げて糖尿病を治すというものです。これは医学会や糖尿病専門医、管理栄養士の多くが信じている方法でしょう。そして、糖尿病患者には、カロリーが高いから肉や油は少なくしなさい、と指導します。しかし、宗田氏の実証研究では、それとは反対の結果が出ています。そして、多くのデータをもとに指導方法を変えて、糖質にあたる米やパンをやめると、すぐに血糖値は下がるといいます。その代わり、タンパク質と脂質を摂ればいいわけです。

今の栄養学では、食事の割合について、炭水化物を60%、タンパク質を20%、脂質を20%摂ると良いとされています。しかし、炭水化物の60%が現代の生活習慣病の原因になっている可能性は十分あり得るでしょう。そもそも食事全体の60%を炭水化物が占めたというのは、人類にとってここ最近のことなのですから。少なくとも宗田氏の実証研究からは、炭水化物を構成する糖質を制限することで糖尿病は治せるし、その他の生活習慣病も治療できるという結果が出ています。

私たちは医学会や栄養学会で通説となっている見解にもっと疑問を持つべきなのかもしれません。今は確実ではないかもしれませんが、少数説の中に正解があるかもしれないからです。ましてや学会の統一された見解などは横に置いておくべきかもしれません。なぜなら、学会に所属する専門家全員が合意できる見解など存在するわけがないからです。

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